もふもふもふぅっ

ゆかりんでいっぱいです。

またおサボり…? 

先の1週間おサボりよりかは甘いですが、
またしても長期間の更新放棄を致しました。(う〜む、ワロス…

いや、でも今回のおサボりにも、ちゃんと理由があるんですよっ。
少し前の記事で”ミニ小説第2弾”をきっぱり予告してしまったので、
そいつを書き上げていたのです。
しかも、前作よりも多少長めなので、より時間がかかってしまい、
それで長期間不更新に至るわけなんですね〜。
…にしても前作でも結構長かったのに、
さらにそれよりも長文になってしまうなんて…。
もうちょっとこうコンパクトにできればいいんですけど。
とにかく、長らくお待ちいただいてくれてた方には大変遅くなりましたが、
かなり長編の東方ミニ小説第2弾、アリス編!! をお楽しみくださいませー。




●まがとろアリスの憂鬱



「はぁ……」

一日の始まりは、まずこの溜め息から始める。
これは魔法の森に住む七色の人形遣いこと、アリス・マーガトロイドの最近の日課となっていた。
そして、溜め息のあとには必ず机の上にうつ伏せになるのである。

「はぁ〜ぁ……」

早くも二回目の溜め息。
この調子だと、今日は寝る前まで溜め息が止まらないかもしれない。
溜め息をつけばつくほど幸せが逃げてゆく、なんて言葉もあるが、
今のアリスにとってそんなことはどうでもいいことだった。
憂鬱なアリスを見て、上海が心配そうに顔を覗き込む。

「ありがと上海、心配してくれてるのね」

さらさらの髪を撫でると、上海は安心したのか、少しだけ顔を綻ばせた。

「ふぅ……」

しかしアリスがまた机にうつ伏せになると、
上海はまた顔を覗き込んでくる。
なんだか面倒になってアリスは構わずにいると、
終いにはほっぺたをぐいぐいと引っ張ってくる始末。
それでもアリスはうつ伏せたまま顔を上げようとはしなかった。
アリスがこんなにも元気がない理由は、数週間前にさかのぼる。
そしてその理由の発端になっている人物は、
同じ魔法使いでもあり、アリスの一番の親友で唯一自分の心の内を明かすことの出来る人物。
他でもない霧雨魔理沙だった。



それはある日の博麗神社での出来事…。
『暑くなってきたので霊夢ん家でスイカでも食べようぜー』
と魔理沙に誘われたアリスは、いつもより上機嫌で博麗神社に向かっていた。

「うぅ……それにしても暑いわね」

紫みたいに日傘でも差そうか、内心本気で考えてみる。
が、実際に自分が日傘を差しているところを想像すると、
あんまりにも似合わないことがわかったので、すぐにもみ消した。
(日傘は紫専用アイテムのような気もしたので)
そうこうしてるうちに、博麗神社名物(?)の境内に続く長い階段が現れた。

「この暑さでこの階段を登らないといけないなんて…」

魔理沙は箒があるのだから全く問題などないが、アリスはそうはいかない。

「全く、パートナーのことなんで考えもしないで突っ走っていっちゃうんだから」

物事に対してなんでも突っ込んでいってしまうのが玉にキズの魔理沙だが、
反面、そんな真っ正直なところに惹かれたのも事実だった。
しかしそれは言葉にすると恥ずかしいので、心のうちに留めて置こう。
長き階段をようやく登りきり、境内を跨いで本堂へと向かう。
その時、境内横の林から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
気になってみたアリスは、足音を立てずに近づいてみる。

「…ったく、あんたはま…そんな…と考……る……なの?」
「まぁ…ぁ、こうじゃ…いと、意味……いんだって」

声の主は霊夢と魔理沙だ。
しかし、本堂じゃなくてどうしてこんな林の中で話をしているのだろうか。
アリスはすぐには声をかけず、こっそりと話の続きを聞いてみることにした。

「きっとアリスの…つ、びっくりし……も…ついちゃうぜ」
「ホントおどろ…すの好き…ぇ、でもアリスのび……りする…こなんて、面白……ね」
「だろだろ、み…なも呼んで、……パーッとやっちゃ……ぜ」
「そ…ねぇ、楽し…うだし、あの半引きこもり娘……ど…かし…や…ましょうか」
「んじゃー、スイカ食べ……ったら、みん…に……って回ってくるわー」
「もち…ん、アリス…は内緒よ、いいわね」
「わ…ってるって」

二人の足跡が境内の方へと消えて行く。
アリスは二人の背中を、絶句しながら見つめていた。
いや、すでにその時アリスの視界には何も映っていなかったのかもしれない。
        ・ ・ ・
一番の親友だった魔理沙が、自分に対してよからぬことを隠しているのだから…。
その日、アリスが博麗神社本堂に姿を見せることはなかった。



アリスはあれから魔理沙と全くと言っていいほど連絡を取らなかった。
親友の裏切り、怒っていないと言えば嘘になる。
ただそれとは別に、もう一つの感情が、今のアリスを縛っていた。

なぜ魔理沙は自分に隠し事をしたのか?

自分と魔理沙の中はそんな軽いものだったのか。
やはり自分のような友達も多くない奴と付き合うのが嫌になったのか。
それとも、自分が気づかないうちに、何か嫌なことを言ってしまったのか。
考えれば考えるほど、思考はその暗さを増してゆく。
そしてその思考の終着駅は。

自分が悪い。

その繰り返しだった。
アリスはそんな葛藤を、ここ数週間ずっと続けていたのだ。
何度か魔理沙が訪ねて来たこともあったが、その度に「体調が悪い」などと言って、
自分から追い返していた。
次第に魔理沙も訪ねてこなくなり、今に至ると言うわけだ。

「あぁ〜もう!! モヤモヤするなぁっ!!」

がばっ身体を起こし、乱暴に椅子から立ち上がる。

「ちょっと外の空気吸ってこよ…」

重い足取りでアリスは外へと向かった。



暗い気分とは裏腹に、空は憎たらしいくらいに快晴だった。
あんなことさえなければ、きっと今日も爽快な気分で空を見上げていただろう。
どうしてあそこで気になって林の方へ行ってしまったのか。
なぜ、あんな会話を聞いてしまったのか。
もしも聞いていなければ、状況はきっと変わっていたかもしれない。
例えそれが、仮初の幸せだったとしても…。
こんな気分に比べたら、よっぽど楽だったに違いない。

「はぁ……」

結局外に出ても、気分はブルーなままだった。
そしてまた溜め息。
今日はこれで何度目だろうか。
この先、いつまで溜め息をつく日が続いてしまうのだろうか。
アリスの憂鬱は止まらない。

「私…どうしたらいいのかな……」

ポツリと呟く。
その言葉は誰に向けた言葉だったのか
魔理沙に向けた言葉か。
それとも誰でもいいから、とにかく聞いてもらいたかったのか。
誰かに聞いてもらえれば、少しは気持ちが軽くなるかもしれない。
だけど…。
けれど、そんな心の内を明かすことのできる唯一の存在は。
今は手の届かないのと同然の、遠い存在となってしまっている。

「…ぅ……ぐす」

気がつけば、冷たい涙が頬を照らしていた。
誰もいない静かな森の中で、一人ぽつりとアリスは佇む。
静か過ぎるその森は、外部からその存在を隔離し、今のアリスを更なる冷たき闇へと突き落とす。

「…ぅ……ぅぁ…」

空が暗くなる。
さっきまで快晴が嘘のように、空には灰色の雲が混じり始めた。
次第に太陽の陽は遮られ、ぽつりぽつりと雨が降り出した。

「ひっく……うわぁぁぁぁんっ」

哀しみに染まるその叫びも、激しい雨音の中へと消えてゆく。
溜め続けていた苦しさが、留め金が外れるように溢れ出す。
大粒の涙も、雨に混じってわからなくなっていた。
そんな時だった。
小さな傘が、自分を雨から守ってくれたのは。

そっと小さな傘を…

「しゃん…はい……」

自分よりも大きな傘を必死で支えるのは、雨でずぶ濡れになってしまった上海だった。

「だ、だめよ……あなた人形なんだから濡れちゃったら…っ」

それでも上海は自分が濡れるのも省みず、アリスを雨から庇おうとする。

「うっく……上海っ」

アリスは小さなその身体を優しく抱きしめる。

「ごめんね……あなたに心配されちゃうなんて、人形遣い失格ね…」

アリスは優しく上海に微笑む。

「さて、上海を乾かしてあげないとね」

上海を大事に抱えて、アリスは急いで家へと戻った。
が、家には思わず尻餅をついてしまうくらい、びっくりしてしまう来客がいた。

「って、ま、魔理沙!?」

魔理沙はソファーの上で呑気にくつろいでいた。

「おーアリスー、やっと帰って…って、なんでそんなにずぶ濡れになってるんだ!?」

魔理沙が心配してかけよってくる。

「あ…えっと、森のきのこ採りに出かけてたら急に降られて」
「そ、そうなのか? でもアリスこの森のきのこは使わないはずじゃなかったのか?」
「あっ、え、えっと…きまぐれよ、きまぐれっ」
「お、おう…。 と、とにかく早く風呂入れ! そのままじゃ風邪ひくっての」
「うん、ありがと…」



お風呂から上がったアリスは、さっきから気になっていた魔理沙の来訪について聞いてみた。

「ところで魔理沙、どうして家に?」
「あ、その、な……最近アリス元気なかったから心配でな」

魔理沙によれば、以前からアリスが元気のないことはわかっていたらしい。
ただ、家に行ってもすぐに追い返されてしまうような状態だったので、
少々会いに行きにくかったのが本音だったようだ。
けれど、そもそもアリスがこうなってしまった原因を作ったのは、他でもない魔理沙なのだ。
アリスはちょっと不機嫌そうに言った。

「ふぅん……そう」

そんなアリスの反応に、魔理沙は場が悪そうな顔をする。

「ひょっとして…怒ってる?」
「別に……」
「いや、怒ってるだろう」
「怒ってません」
「だってアリス、怒ってないって言う時は、たいてい怒ってる時じゃないか」
「知らない」
「もー、あたしが何したっていうんだよー」

その言葉にアリスはいらつきを覚えたが、ぐっと堪える。

「なんだっていいでしょ…」
「ちぇ…なんだよ、もう…」

魔理沙も我慢しきれなくなったのか、声に不機嫌さが混じり始めた。
しばしの沈黙。
部屋の空気が悪くなってきた。

「ごめん…」
「ごめんな…」

せきを切ったように、二人は同時に謝った。

「え…っ」
「お、およ…?」

互いの顔を見合う二人。

「あ、えっとー…」

恥ずかしくなって、アリスは顔をそらす。

「んと、そのー…だな。 って、そうだよアリス、忘れてたぜ!!!」
「え…なに?」

魔理沙はソファーに置いておいた帽子を被り直す。

「明日な、レミリアんとこに来てくれないか?」
「紅魔館に?」
「ああ、ちょっとした集まりがあってなー」

唐突な言葉だった。
いつも通りに考えれば、魔理沙と紅魔館に行くことなんて、別に珍しいことではない。
あそこには大量の書物が安置されてるからだ。
しかし、博麗神社の一件がある以上、魔理沙が自分に対して何かを隠して事をしている。
そんな蟠りが、アリスの思考を狂わせていた。

「で、でも…」
「ん、何か用事でもあるのか?」
「ないけど…その」
「じゃあ問題ないじゃんか。 あ、明日は私も真っ直ぐ紅魔館へ行くから、
 アリスもそのまま紅魔館に行ってくれ」
「え、ちょっとっ、私まだ行くなんて一言も…っ」
「それじゃ明日、紅魔館でな〜♪ あ、時間は夕方くらいにな」

アリスが言い切る前に、魔理沙は箒に乗って飛んで行ってしまった。

「行っちゃった…」

いつの間にか雨は止み、透き通るような空を、アリスは呆然と眺めるのだった。



当日…。
あまり軽くない足取りで、アリスは紅魔館へと向かっていた。
魔理沙に押し切られる形でこうなってしまったが、行かないわけにもいかない。
博麗神社の時は上手く言い訳を作ってごまかせたが、
今回ばかりは言い訳は通用しないだろう。

「一体紅魔館で何をするつもりなのよ…」

理由なんてないが、きっとあの一件に関することには間違いないだろう。
そしてその一件に関して詳しく知らないのは、恐らく自分一人だけ。
魔理沙は教えてはくれなかった。
(無論、こっちから聞くこともなかったし、そんなことできなかったが)

「(着いちゃった…)」

ふっと顔を上げれば、そこには久々に見た紅魔館があった。
庭では咲夜が植え込みに手入れをしていた。
今からでも遅くはない、このまま引き返してしまおうか。
すっと右足が数センチ後ずさる。
走って逃げてしまえば、わからないだろう。
でも、その後のことはどうしたらいいのか。
そうこう考えているうちに、アリスの逃走案は封じられてしまう。

「お〜アリス、もう着いてたのか〜」

箒に乗ってやって来た魔理沙が、すとんとアリスの横に降り立った。

「ま、魔理沙っ?」
「ん、って、なんでそんなに驚いてるんだよ」
「あっと…別に」
「まあいいや、ほらほら、とっとと中に入った入った」
「ちょっと押さないでよっ」

二人のやりとりを咲夜も気づいたようで、重々しい門がゆっくりと開かれた。

「(あぁ……やっぱり来なければよかった)」

すでにアリスは後悔の思いでいっぱいだった。
紅魔館の中は、いつも以上に暗かった。
と、言うより、明かりが灯ってないと言ってもいいくらいに暗かった。

「な、何か暗くない…?」
「お嬢様が、今日は日差しが強いと言うことなので」

キャンドルの明かりを頼りに先導する咲夜がそう言った。

「(日差しって…もう夕方よ? そろそろ陽が沈みかけてるのに…)」

やはり咲夜も何か知っている。
そして後ろを歩く魔理沙はやけに楽しそうだ。
不気味な不信感がアリスを煽り立てる。

「(うぅ…もういや…)」

やがて咲夜はとある部屋の前で足を止めた。
そこは食堂だった。
するとどういうわけか、咲夜はキャンドルの灯りをふっと吹いて消してしまった。

「え!? な、なにやってるのよっ!」

驚いたアリスは怒りの混じった声で言う。

「ま〜落ち着けって、別に何もしやしないんだから」

呑気な魔理沙の言葉に、アリスの我慢も限界だった。

「ふざけないで!! こんなところに呼び出して、一体私に何の用なのよ!?」
「あぁん、もう!!! とっとと中に入りなさい!!」

どんっ、と背中を強く押され、アリスは勢い良く部屋に押し込まれた。
その瞬間だった。

パンパン!!

何かが弾ける音がしたかと思うと、真っ暗だった部屋の明かりがようやく灯された。

「……え?」

アリスの視界に飛び込んできたのは、賑やかに飾られた部屋の装飾。
テーブルの上には無数の豪華な料理が彩られ、中央には大きめのケーキが置かれていた。
そして、壁の少し高いところに飾られたメッセージボードには、こう書かれていたのだ。

「お誕生日おめでとう、アリスっ」

ぽんとアリスの肩を叩いて、魔理沙はお祝いの言葉を贈ったのだ。
その後に続いて、霊夢、咲夜、レミリア、パチュリー、そして妖霧に幽々子、
それと今回は省かれずに済んだのか、美鈴が「おめでとう」と祝いの言葉をアリスに贈った。

「こ、これって……」

呆気にとられるアリスに、魔理沙は少し困った表情で言った。

「えっとな…アリスには黙っていたほうがインパクトあると思ってさ」

アリスはまだ状況を理解できず、困惑する。
パニくりながら説明する魔理沙に、霊夢が渇を入れた。

「だから言ったじゃない、素直に招待すればいいって」
「ちょ、ちょっと待てい!! 霊夢だって最初はノリノリだったじゃないかっ」
「あの時はあの時よ。 誕生日会でどっきりなんて、ベタすぎるわよ」
「なにーー!! 裏切ったなぁ!!」

半分喧嘩腰の霊夢と魔理沙に、レミリアが楽しそうに言った。

「まぁいいじゃない、私こういうの結構好きよ」

などと言って、手に持ったクラッカー引っ張り、パンと弾けさせる。

「あらパチェ、あなたクラッカー使ってないじゃない」
「糸が絡まってしまったみたい…」

くいくいと、難しそうな顔で尻尾を引っ張るパチュリー。

「もっと強く引っ張るのよ、こうっ」

レミリアが勢い良く引っ張ると、クラッカーはパンっと炸裂した。
そして、その射出先には妖夢がいた。

「ちょっと何するんですか!!!」

紙の装飾まみれになった妖夢が、レミリアに突っかかる。

「不可抗力よ、不可抗力」
「なっ……幽々子さまも何とか言ってくださいよ!!」
「ふぁ?」

一方幽々子の方は、マンガで出てきそうな骨付き肉を口いっぱいにほおばっていた。

「って幽々子さま!! 食べるのは乾杯してからなんですよっ」
「だっておなかすいたんだものー」

相変わらずの幽々子だ。
そんな賑やかな光景を見て、アリスはようやく理解した。

「私の……ための、お誕生日会…?」

いつの間にか口論に決着をつけた魔理沙が、照れながらこう言った。

「まぁそういうことなんだ、隠しててごめんな、アリス」
「じゃ、じゃあ…私とんでもない勘違いを…」
「ん、勘違い?」

つまりこう言う事だ。
魔理沙は以前からアリスのための誕生日会を計画していた。
だが、普通に開くだけじゃ面白くない。
と言うわけで霊夢やレミリアたちに協力してもらい、
今回は盛大に行う、と言うことになったのだ。
ただし、アリス本人には内緒と言うことで…。
ここまでは彼女たちの計画通りたったのだが、
問題は当人のアリスが中途半端にその事を知ってしまったことだった。
そのためアリスは一人勘違いをしてしまい、魔理沙に対しても誤解してしまった。
結局、アリスの憂鬱は、アリス自身が始めてしまったことだったのだ。

「ま……魔理沙のバカぁ!!」
「うわぁっ!! と、突然なんだよ!!」
「ばかばかばかばかぁ!!」

もうはなさないもん…っ

周りにみんながいるのにも関わらず、アリスはぽかぽかと魔理沙の胸を
泣きじゃくりながら叩き続けた。

「……ばかぁ…っ」

やがてぎゅっと魔理沙の身体に抱きつく。

「そ、そんなに泣かないでくれよぅ……隠してたのは謝るからさ…」
「違うわよぅ……この涙は…嬉しい……から」

優しい涙がアリスの頬を照らしてゆく。
温かな魔理沙のぬくもりが、アリスを包んでゆく。

「まぁ、結果オーライじゃない」

霊夢がニヤニヤといやらしく微笑む。

「あらあら、女の子同士、お熱いことだこと…」

レミリアと咲夜はやれやれと言った感じで、二人を眺めていた。
妖夢と幽々子はと言うと…。

「ダーメです、幽々子さま!!! ケーキだけは絶対にダメですぅ!!!」
「いーじゃない、こんなにおっきいんだから」
「絶対にダメです!!! 幽々子さまに大きいも小さいも関係ないんですから!!!」

幽々子にとって状況がどうであれ、食にしか興味がないらしい。
相変わらずと言えば相変わらずで、アリスはくすりと笑った。

「ほーら、もういいだろ? 涙拭いて、ちゃっちゃと始めようぜ!!」
「ふふ、そうね、もう一人先に始めちゃってる人がいるけどね」

視線の先には今にもケーキにかぶりつきそうな勢いでいる幽々子がいた。

「もたもたしてるとあいつに全部料理食べられちゃうぜ」
「心配しなくても大丈夫よ、まだたくさん残ってますから」

咲夜はこんな展開を予想していたように、あらかじめ多めに作っておいたようだ。

「はは、それじゃあ料理の心配はないなっ」

魔理沙は側にあったシャンパンをそれぞれのグラスへとついでゆく。
そしてアリスのグラスが注がれる時…。

「魔理沙、祝ってくれる前に一つだけ言わせて…」
「どしたんだ、改まって?」

すぅっと息を吸って深呼吸するアリス。
気持ちを落ちつくせて、アリスはゆっくりとこう言った。

「変な勘違いをしてごめんなさい……」

アリスの言葉に魔理沙は眉を八の字に曲げる。

「か、勘違い? おいおい、なんのことだよ」
「うぅん、なんでもない、こっちの話よ♪」
「はぁ? なんか一人置いてかれた気分だが、まぁいいか!」

ケーキの置かれたテーブルをみんなで囲む。
妖夢の活躍でケーキはまだ無事のようだ。
パーティを率先するのはもちろん魔理沙だ。

「それじゃあみんな!! アリスの誕生日を祝してっ!!!」

もうアリスは寂しくない。
だって…。
こんなにも自分を祝ってくれる仲間たちと。
そして…。
     ・ ・
大切な親友が側にいてくれるのだから。



「乾杯!!!」


〜 Fin 〜




…と、長らくお付き合いいただき、まことに感謝します〜。
前作はレミ様と咲夜さんの紅魔館編で、
今回はアリスが主役!! なわけでしたがいかがだったでしょうか?
文量もともかく、挿絵も2枚つっこんだので、
制作時間が偉いことになってしまいましたが、
なんとか完成させることができたのでよかったです。
か、感想なんかくれると嬉しいんだよねっ!!

[ 2006/07/22 03:11 ] 東方ミニ小説 | TB(0) | CM(8)

でけたっ!! 

正直に言います!!

暑い!!!

家とかでPC弄ってると気温の影響だけでなく、
PCの放つ熱も加わって暑い!!
バイトの仕事場にクーラーかかってるおかげで、
仕事場が天国のように感じる今日この頃。
冷蔵庫の中なんか神です。

と、言うわけで、グチもここら辺まで。
前の記事で言っていた東方ミニ小説、1つ書き上げてみました〜っ。
やはり自分の書くお話は、こういった展開になるんだな〜と、つくづく実感w。
ミニ小説なので色々圧縮したつもりなんですけど結構な文量です。
ミニ小説劇場にお越しいただいたお客様へ、
しばらくの間、お付き合いくださいませー。




●陽だまり紅魔館


紅魔館の朝。
それは、紅茶、もしくは珈琲の香ばしい香りから始まる。
紅魔館の主、レミリア・スカーレットは、
毎日その香りで目が覚める、と言うのが日課になっていた。
しかし、その日はというと…。

「ん……もう朝…ね」

カーテンからもれる日差しで、すっと目を覚ましたレミリア。
きっちりとカーテンは閉めておいたはずなのだが、どうやら今日は日差しが強い日のようだ。
その証拠にカーテン越しからでも眩しいくらいに光が貫通してくる。

「もぅ……そろそろ夏だと言うのに、困ったものね」

こういう朝は、なかなか調子が出ない。
もとより朝は苦手なのだから、より調子が悪い。

「また咲夜に熱い紅茶か珈琲でも入れてもらおうかしら」

そう思い、重い身体を起こしてベッドから立ち上がる。

「ん〜…って、あら?」

ぐっと背伸びをしていたところで、レミリアは今日の異変にようやく気がついた。

「今日はあの香ばしい香りがしないわね」

いつもならば決まって空気に乗って、あの良い香りがするのだが。

「咲夜ってば何をしてるのかしら」

日差しで少しやられていたレミリアは、少々ご立腹で食堂の方へ向かった。



しかし、いざ食堂に着いてみると、そこには咲夜の姿どころか、
朝食たちに鮮やかに彩られるテーブルの上にも、何を用意されていなかった。
当然ながら、食堂のカーテンも全て閉まったままだった。
今のレミリアにとって、これはありがたいことだったが、
できれば今は日差しの遮断よりも、咲夜の淹れてくれた眠気覚ましの方が嬉しい。

「おかしいわねぇ…咲夜、もしかして寝坊かしら」

一応、厨房の方も覗いてみたが、やはり咲夜の姿はなかった。

「また勝手に時を止めて一人夢の中、なんてパターンはないわよねぇ…」

すると、レミリアの後ろから声がした。

「レミィ?」

この呼び方をするのは一人しかいない。
くるりと振り返り、レミリアは声の主に挨拶した。

「あら、パチェ、おはよう」
「…おはよう」

パチュリーは眠そうな瞼を擦りながら返事をした。

「また遅くまで読み物してたのね…」
「違う…ある書物を探していたのだけれど、魔理沙に持っていかれてたのをすっかり忘れていて…」
「夜更かししてたのは一緒でしょう、ふふ」
「うぅ…」

相変わらず眠そうなパチュリーを見て、ついからかってしまう。
…が、本来の目的を忘れていたことにレミリアは気がつく。

「あっと、そうだったわ。 パチェ、咲夜は見なかったかしら?」
「ん…今日はまだ見てないけど…」
「そう…それならばまだ部屋で寝てるのかもしれないわねぇ」

俄かに信じられない気もするが、咲夜も人間なのだからそんな日もあるのだろう。

「少し仮眠をとるわ…」

パチュリーはそう言って、レミリアとは反対の方向に姿を消した。

「あの様子じゃ昼まで起きそうにないかもね…」

レミリアは内心そう思いつつ、咲夜の部屋へと向かった。



咲夜の部屋へ行く途中、廊下の窓から門番の姿が見えた。
門番はどうやら咲夜が手入れをしている庭の植物を、しきりに調べているようだった。

「何やってるのかしら…あのコ」

門番のその顔は、妙に真剣だった。

「新手の気功の練習かしら」

植物と気功がどう関係あるのかはわからないが…。
するとレミリアは以前咲夜が言っていた、とある言葉を思い出した。

『お嬢様、あの辺の植物には近づかないでくださいね。 あれには侵入者用の…』

「…なんてことを言っていたような」

ふと視線を戻し、再び庭を見てみると…。
門番がうつ伏せに倒れていた。
ピクピク動いているようなので、命に別状はないようだ。

「まぁ大丈夫でしょう、さて咲夜咲夜と…」



咲夜の部屋まできたレミリアは、控えめにドアをノックしてみた。

「咲夜? まだ寝てるのかしら、寝坊よ」

別に少しくらい寝坊してくれても構わないのだが、自分で淹れる紅茶よりも、
咲夜の淹れてくれたものの方が美味しいうえ、効果も良い。

「咲夜、入るわよ?」

ドアノブを回してみると鍵がかかっていなかったので、レミリアは一声かけてゆっくりと入っていった。

「咲夜、いるのなら返事くらい…」

咲夜はベッドの上で眠っていた。
だが、どうやら様子が変だった。

「お、お嬢様っ、す…すみません、少し寝すぎたようで…」
「え、あぁまぁいいのだけれど…って、あなた少しフラフラしてるわよ」
「寝ぼけてるだけです…すぐに支度を…」

そう言って立ち上がろうとした咲夜だったが、その身体はよろっとベッドに倒れこんだ。

「ちょっと見せて」

レミリアが額に手をやると、そこはかなりの熱を放っていた。

「熱あるじゃない、風邪でもこじらしたの?」
「そ、そんなはずは…っ」
「もういいから、横になってなさい。 いいわね」
「すみません…」

咲夜を横にしたところまではよかったのだが、レミリアはこの後どうするか、少々頭を痛めていた。
風邪薬なんて、あると言えばあるのだが、異人用なので人間に効き目があるかはわからない。
パチュリーに頼んでみてもいいが、朝の様子じゃ昼まで起きそうにもない。
門番こと中国に頼んでも、と言うより再起不能状態のようなので却下。
博麗神社の霊夢なら人間用の風邪薬の一つや二つくらいもっていると思うが、
そんな時間はないうえ、咲夜も結構辛そうだ。
無論、永遠亭の永琳のところへ行くのも同じだ。

「あ、あの…お嬢様」

横になっていた咲夜が小さく声を出した。

「そこの戸棚に非常時の薬が入っていますので…」
「え、あ、ここ?」

なにやらナイフなどが飾られている戸棚の戸をあけて見ると、
白い箱に赤い十の字が書かれた小さな箱が入っていた。

「こういうの、ちゃんと用意していたのね」
「万が一のためだったのですが……」
「でも薬を飲む前に、何か食べないとだめね」

そういってレミリアは部屋を出ようとする。

「お、お嬢様…どこへ…っ?」
「食堂よ。 病人用の食事でも作ってくるわ」
「そ、そんなっ…お嬢様の手を煩わせることなど…!」

咲夜が立ち上がろうとする、がすぐによろりと倒れこんでしまう。

「起きてはだめよ。 熱、結構高いみたいだし」
「しかし……」
「今日はゆっくり休みなさい。 あなたには色々してもらってるし、それに…」

レミリアは部屋を出る際に、顔だけ咲夜の方に向けてこう言った。

「前に咲夜に教えてもらった”おかゆ”を作るいい機会だわ、ふふ」

あっけに取られる咲夜を部屋に残し、レミリアは軽やかな足取りで食堂へ向かって行った。



「私のよりもおいしくできているんじゃないですか?」
「そうかしら…? 病人用だから薄味よ」
「かえってそれがいいのかもしれません、本当においしいです」

冷ましたおかゆを、咲夜はゆっくり口に運ぶ。

「熱くないかしら?」
「大丈夫ですよ」
「だってあなた猫舌でしょ」
「こ、このくらいなら平気ですっ」

咲夜の食べる様が少し荒っぽくなる。
無理をしているようには見えないが、病人としてはあまり好ましくない。

「あんまり急いで食べると咳き込むわよ」
「お、お嬢様がからかうからです…っ」
「ひどいわね、猫舌指摘しただけよ」
「それがからかっているんですっ」

意外と咲夜をからかうのがおもしろかったレミリアは、もう少し意地悪してみる。

「咲夜、今流行のアレしてみない?」
「ぶふっ……あ、アレってなんですかっ」
「アレはアレよ、わかってるくせに」

妙にいやらしい笑いをするレミリア。
咲夜はぞぞっと背筋に悪寒を感じた。

「な、なんですかっ」

レミリアはさっと咲夜からスプーンを奪い取ると、
ぬるま湯のように冷めたおかゆをスプーンに取り、咲夜の口へと運ぶ。

「はい、あ〜ん」
「な、なんだ…こんなことですか…って、これも同じようなものです!!!」
「同じって何が同じなのよ、それよりそんなにはしゃぐとぶり返すわよ」
「お嬢様がそうさせているんじゃないですかぁっ」

赤面させらがらバタバタとだだっこのように振舞う咲夜。
いつも厳粛なメイドとしてのイメージが主な分、
こんな一面の咲夜は実におもしろい。

「し、仕方ないですね…」

丸め込まれたと言った感じで、咲夜が口をあける。

「はい、あ〜ん」
「あ、あ〜…ん」

口に運ばれたおかゆをやたらと何度も噛む咲夜。
そして噛むたびに赤面がひどくなってゆく。

「どうしてそんなに恥ずかしがるのかしら」
「恥ずかしいに決まってます!!!」

食べ終わる頃には、咲夜の赤面は蒸気を発しそうなくらいにまでなっていたのだった。
こうしてようやく咲夜の長い食事は終わったのである。



「そうそう、りんごも持ってきたわよ。 今皮を剥くわね」
「お嬢様、りんごの皮の剥き方なんて、私は教えていないのですが…」
「おかゆが作れるのだから大丈夫よ」
「そ、そうでしょうか…」

風邪っぴき咲夜さん

意識を集中させるレミリア。
果物ナイフがりんごの皮を綺麗に剥いてゆく…と思えば、
途中でりんごの身を切り落としたり、手を傷つけそうになったりとかなり危なっかしい。

「んと…む、難しいわね」
「代わりましょうか、お嬢様」
「ま、まだまだ、これくらい簡単よ」
「そ、そうですか?」

皮むきを再開するレミリア。
一生懸命なのは十分わかるのだが、その光景は皮を剥いているというよりは、
りんごの身を削っているようにしか見えない。
咲夜はそんなレミリアを微笑ましく見ていた。

「ちょっと、笑うなんて失礼よ」
「くす…すみません、でもお嬢様がりんごに真剣になっているところを見るとつい…」
「あ〜もうダメダメよっ。 咲夜、代わってくれる?」
「はいはい、只今」

先ほどのレミリアの時とは打って変わって、りんごの皮は綺麗に剥かれてゆく。
レミリアがボコボコにした身の部分も、上手く削って形を整えてゆく。

「私もナイフ使ってみようかしら」
「私がナイフ使いだというのと、りんごの皮剥きはあまり関係ないと思うのですが」
「そんなことないわ、ナイフに慣れてる分有利よ」
「霊夢だって、このくらいできると思うのですが」
「………」

少し小振りにはなったが、丸いりんごが出来上がった。
咲夜が均等にそれを分け、二人でそれをつまんでゆく。

「咲夜、風邪の時はなぜ果物を食べるようにするのかしら」
「単にビタミンとかを摂取するためだと思いますが」
「ビタミン…ならパチェにも分けてあげた方がいいわね」
「うふふ、そうかもしれません」

一切れ食べたところで咲夜が控えめに声を出した。

「お嬢様、今日は申し訳ありませんでした…」
「またあなたはそうやって謝るんだから、別に私は少しも嫌だなんて思ってないわ」
「ですが、今回は私の体調管理がなっていなかったせいで…」
「あのね」

レミリアはすっと椅子から立ち上がると、
窓の淵にに腰掛けてゆっくり言う。

「人間も、妖怪も、吸血鬼も…結局はお互いに支えあっていかないとだめなの」
「お嬢様…」
「それに…」

レミリアは窓の淵から腰をあげると、今度は咲夜のベッドに腰をかけた。

「やっぱりあなたには、いつも私の側にいてもらわないと…ね」

ふわっと心地よい風が二人の間を通り抜けた。
レースのカーテンから、日差しが飛び込んでくる。

「あうっ…直射日光はぁっ」

すぐ咲夜がカーテンを少し閉じる。

「ふふふ…やはり私は常にお嬢様の側にいないと…ですね」
「そ、その台詞は私のパクりよ!!」
「奪ってしまいましたー」
「ちょ……あなた元気いいじゃないっ」
「多分薬が効いたんですよ」
「そんな早く効くわけないでしょう!」
「私は人間ですから」
「あ、あなた途端にいじわるになってないかしら…」
「あ〜ん、のお返しです」

咲夜はジト目で微笑みながらそう言った。



「(そ、そんなに嫌だったのかしら………)」


〜 END 〜




結局ほのぼの話しなのでした〜。
東方小説作りの第1作目だったので、まあこんな感じでいいのではないかとっ。
お話はもちろん、挿絵描いたりでいつもの倍以上に大変だったなぁ〜w。
その分お話作りも楽しめて、よい気分転換になりました〜。
果たして2作目に続くのだろうか……。

ミニ小説劇場にお付き合いいただきありがとうございました。
最後まで読んでくれた方には本当に感謝です〜。

[ 2006/06/19 15:36 ] 東方ミニ小説 | TB(0) | CM(5)